光前寺(長野県駒ケ根市)と高遠石工守屋貞治の石仏

 光前寺、山号は法積山(ほうしゃくさん)、長野県駒ケ根市に位置します。光前寺の御本尊は、不動明王ですが、七年に一度の御開帳です(*1)。貞観2年(860)、比叡山延暦寺円仁(*2)の弟子本聖上人の開基と伝えられています。
 以降の状況は、詳しくは分かっていませんが、16世紀には、武田と徳川、織田両家の戦乱により創建当時の寺宝の多くが失われました。そのため、建造物等の多くは、江戸時代以降の建立です。

 三重塔は、文化5年(1808)建造、杮葺き(*3)の屋根と周囲の巨木が上手くマッチして、当寺ではもっとも美しいほぼ和様の建造物です。高さは、約17.1m(5丈6尺4寸)、一般的な三重塔と比較して若干小ぶりです。三門を入りすぐ左手前方に見えますが、本堂からは少し下がった場所にあり、遠景では一寸損している様に思います。
内部は五智如来を安置します。通常は扉が閉められており、拝ませて戴くことはできません。

画像の説明:光前寺 三門と三重塔

 当寺には、霊犬早太郎伝説が残ります。古本によると、「仏薬証明」(*4)或いは「大般若経」の功徳に民間伝承を交えたものと説明があります。現在では、犬の活躍伝説は時節にあったものです。当寺には、「災難除け 霊犬早太郎お守り」等のグッズが販売されています。


画像の説明:光前寺 苔むす石垣(ヒカリゴケの生息場所)


 当寺の庭や石垣は、苔むしています。石垣の隙間には、ヒカリゴケが自生しています。添付の写真は、ヒカリゴケの自生地で、私には良く見えませんでした。(ロープで保護されていますが)

 高遠石工守屋貞治は、江戸時代中期の人で、長野県をはじめ近在には、彼の製作した石仏が数多く残ります。いずれも、材料が石にもかかわらず、出来上がりがやわらか均整のとれた出来栄えです。当光前寺にも数点彼の作品が残ります。今回の画像は、高遠建福寺に残る作品です。

画像の説明:高遠石工守屋貞治作の石仏

(*1)最近の御開帳は、最近では、令和4年4月~6月でした。特別拝観時には、三重塔の扉も、天気の良い日は開帳されて、五智如来も拝観可能です。

(*2)円仁(えんにん)は、最澄の弟子で、第3代天台座主。慈覚大師(じかくだいし)ともいう。入唐八家(最澄・空海等中国に渡った僧)の一人。

(*3)杮葺き(こけらぶき) ヒノキ等の薄板で屋根を葺くこと。

(*4)仏薬証明 寺の施薬の効能を説明する縁起。

2024年08月01日